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はりまや佳子 還暦をむかえて




10月9日にめでたく還暦をお迎えた、はりまや佳子先生。

波乱万丈の人生を送ってこられた今、その胸のうちを知りたくて、インタビューを申し込みました。さて、佳子先生は何を思っておられるでしょうか。


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【2023年10月1日 蒲田のご自宅にて】


Q 60歳をお迎えになりますが、今の心境はいかがでしょうか。

A 若いころはね、60歳って、すごいおばあちゃんのイメージだったけど、自分が実際になってみたら、まだまだやれるなっていう感じ。

80歳まであと20年で、何をなしとげようかなってことを、毎日考えています。この20年で何を残せるかなって。



Q マクロビに出会ったきっかけは、ご家族のご病気だったと…。

A 当時のアメリカ人の夫が肝硬変になったのがきっかけです。西洋医学の治療が全く身体に合わず、副作用ばかりが出てしまい、3カ月で治療を断念。

そんな時に友だちに相談したら、「マクロビオティックを実践して、癌が治った人がいるのだって。あなたのだんなさんは癌の一歩手前の肝硬変だから、食べ物を変えたら、治るかもしれない」って言われたのがきっかけでした。

その時、友だちが勧めてくれた本『食べる健康』(船井幸雄・久司道夫/著 ビジネス社刊)が、私の人生を変えた大切な本になりました。




Q 一冊の本がきっかけでしたか?

A 著者の船井幸雄さんは、20代のころ私が勤めていた船井総合研究所の会長で、私の人生の師匠なのです。しかもこの本は、当時私が勤めていた出版社の本だったので、すぐに会社に帰って、時間を忘れて一気に読みました。

今思い返すと、これは運命だったのだなと思うのです。導かれるべくして導かれたとしか思えない。船井会長はよく「この世に起こることはすべて必要、必然」とおっしゃっていましたが、20代のころ船井総研で働いたことも、その後、船井総研の子会社のビジネス社という出版社に転職したことも、夫が病気になって、この本を読んでマクロビと出会ったのも、必然だったと納得しました。

この頃は、私の人生でドン底時代。夫が突然、不治の病に冒された「重病人」と言われて、目の前が真っ暗になりました。そのときの希望の光が、船井幸雄会長と久司道夫先生の本でした。

「久司道夫先生が提唱しているマクロビオティックってすごい健康法だな、心から尊敬する船井会長が太鼓判を押しているのだったら、これはもう、やるしかない!!」って思いました。


Q それで留学を決意したのですね。

A 私の元夫はアメリカ人なので、日本のマクロビティック料理では口に合わないと思いました。そのために、42歳で長年勤めていた出版社を退職し、久司道夫先生の主宰していたアメリカのクシ・インスティテュート(KI)へ留学しました。

当時は「やっとやりたいことを見つけた」という気持ちが強く、とにかく勉強したくてたまらなかった。でも、その頃の私は日常会話には不自由がなかったのですが、英語の読み書きが弱かったので、その力をつける必要性を強く感じました。ですから留学しようと決意してから1年半は、英語の勉強を集中的にしました。まずは、当時発売されていた日本語のマクロビオティックの本を読破して、次に日本で手に入る洋書を全部読んでから留学しました。留学期間の3カ月も、ものすごく頑張ってマクロビオティックの知識と料理スキルを学んでいきました。


※ちなみに、元だんなさまも、のちにKIでマクロビオティックを学ばれて元気になり、今でもフロリダでミュージシャンとして活躍しているそうです。




Q そして、帰国後2か月で、G-veggieをスタートさせたのですね。

A 最初にクシ・インスティテュートに行ったとき、「編集者というキャリアを捨ててまで、なんで来たの?」って聞かれたから、「マクロビオティック料理教室の先生になりたい」って言ったら、「それで食べていける人はなかなかいないわよ。世界中見渡しても成功者はほんの一握り。すごく厳しい世界ですよ」って言われたの。

でも私は、「人ができないことなら、私がやればいい」と思えたので、2005年の12月に帰国し、2006年2月に自宅で料理教室を始めました。


Q これから何をしていきたいですか?

A ここからの20年は、人材育成に力を入れたいと思っています。オーガニックやマクロビオティックのすばらしさを学んで仕事にしたいと思っている人が、食べていける社会にしたい。

それと同時に、これからの10年で、書いて残していこうと思います。

私は言葉が好きです。前職で編集者として文章の仕事をしてきたこともあるから、自分がこれまで20年間学んできたことを、よりわかりやすい言葉で、ひとりでも多くの人に伝えることをしたい。

「私もオーガニックの食材に変えてみよう」とか

「マクロビオティックやってみよう」とか、

ちょっとでも食生活や生き方を変えるきっかけになるような、魅力的な文章を発信していきたい。

ひとりひとりが心と身体にやさしい食べ物や料理、心穏やかに生きることのできる生活習慣を学び、自分で食べ物や生き方を選んで、自分の人生を望んだとおりに生き抜くことが大事だと思うのです。

そしてもうひとつは、「地球に恩返し」をしたい。


Q 「地球に恩返し」ってどんなことですか?

A これまでは、ひとりでも多くの人に、自分の力で健康になれる知識を伝えたい、広めたいと思って走り続けた18年だったけれど、食で健康になりたいと願う生徒さんや、同じ志をもつ優秀なスタッフさんのおかげでここまで料理教室を続けてこられたので、ここからは地球に恩返しもしていきたいと思います。

「どうやったら、地球環境にとってやさしい暮らしを伝えられるか。地球をおもんばかって生きる生き方を、どうやったら伝えられるか」ということ。

ここからもうひとがんばりして、プラントベースのオーガニック料理を広めていかないと、地球温暖化は止まらないと本気で思っているのです。


Q 地球にやさしい暮らしって、どんな暮らしでしょうか。

A 例えば、野菜は皮まで食べるとか、漬物や甘酒などの発酵食品を自分で作る。食品ラップの使用をやめて、何度もつかえる蜜蝋ラップを使う。それから、電子レンジや乾燥機、ウォッシュレットなどの電化製品をなるべく使わないとか、ちょっと便利さを手放してみる。たとえていうなら「昭和な暮らし」。

それを楽しみながら実践する方法を提案していきたい。

ちょっと不便って、けっこう楽しいですよ。

「地球環境にやさしい」とういうキーワードは、これまでは言い辛い時代でしたが、ここにきて時代に後押しをしてもらえて、胸を張っておすすめできるようになったことが、何よりも嬉しいです。

私はいつもくじけそうになると、ちょっと大げさだけど「私ががんばらなかったら、地球にやさしい暮らしが広まらない」って思うようにしています。





Q これまで一貫して、オーガニック農家さんを応援してこられましたね。

A 地球環境を守るオーガニック農法というのは、とても手間がかかるし、売るとことまでやらないとお金にならないので、本当に大変な仕事だと思います。

でも、私自身は農業ができるわけじゃないから、オーガニックでがんばっている小さな生産者さんを応援したくて、早い段階から教室とオンラインで物販も始めました。G-veggieマーケットは、私が実際に食べたり使ったりして、本当にいいと思ったものしか置いてないから、自信をもっておすすめできるものばかり。

オーガニックでがんばっている生産者さんが、キラキラ輝いて安心して仕事ができるように、私は私にできることで応援しています。

そして、「オーガニック農家さん」をキッチンから応援する人を、どんどん増やしていって、日本のオーガニック農業の普及に貢献したいです。


Q とくに応援しておられる農家さんはいらっしゃいますか?

A 無肥料・無農薬・無耕作で玄米を作ってくださっている椿農場さんです。千葉で農薬をまいたことのない田圃(たんぼ)を守りつづけている素晴らしい米農家です。実は、椿さんのつくる自然耕の玄米をたくさん販売したくて、オンラインショップを始めたくらいなのです。

椿さんは、いつも赤い服を着て農作業をしています。その理由は、緑色の田圃で倒れた時に赤い服を着ていれば、だれかに見つけてもらえるからだそう。

たったひとりでお米作っているので、赤い服を着ている、というお話を伺った時に、泣けてきました。

夏の暑い日に草取りをしていると、近所の人に「そんなの除草剤をまけば、一発で効くから、薬まけ、まけ」って言われるそうです。

でも絶対に薬は使わないと決めているから、炎天下のなか、いつもひとりで、もくもくと草取りしているそう。

そんな高い志で作っている、最上級のオーガニック玄米をいただいていることが、私と私の家族、そしてG-veggieの生徒さんみんなの、幸せの源泉だと思うのです。


Q 一番の好物は、玄米だと伺いました。

A とにかく椿さんがつくる自然耕の玄米が大好き!!

「氣」という漢字を見てわかるように、健康になるためには、お米が大事。

お米を食べないで「元気」になるのは難しいと漢字が教えてくれています。

玄米は心と身体の中心軸をつくるバランスの良い中庸な食べ物なので、玄米を食べると心と身体がしっかり安定するのがわかります。

ですから、「私、心が落ち着かないのです」と、悩みを打ち明けられたら、

「元気になりたかったら、上質なオーガニック玄米を食べてみてくださいね」と、アドバイスすることにしています。

母なる大地の生命エネルギー溢れるオーガニック玄米をしっかり食べて、自然の力を心と身体に毎日チャージすれば、どなたでも元気になれるもの。

その理由は「You are what you eat.(人間は食べた物のようになる)」から。そして、オーガニック玄米を食べる時には、お味噌汁とのコンビが最高に美味しいです。