愛犬へのご飯の「手作りはバランスが心配」「続けていけるか自信がない」という声が聞こえてきますが、まずいえることは私達人間も毎日完璧な食事はしていないということです。
獣医さんの指導のもと適切な数値を守るケースを除けば、できるかぎりバランスが取れるように工夫すれば問題ありません。
大切なのは飼い主であるあなたが楽しく続けられることが一番大切です。愛犬のカラダも私達人間と一緒で、毎日の食べるモノで作られます。
総合栄養食だからといって、毎朝お子さんにエナジーバーを食べさせ、簡単・便利だからという理由で、夏の暑い日も寒い冬も同じモノばかり食べさせるでしょうか。
筆者自身、何の迷いもなく与えていたペットフードをやめてから、愛犬の健康状態がぐんと良くなりました。愛犬に手作りご飯を与える前は、目ヤニがひどく、健康診断ではいつも異常をさしていた数値が、手作りごはんで正常値に戻った時は私自身が驚きました。
病気にならないカラダ作りは毎日の食事から!
愛犬の健康寿命を延ばすのは飼い主であるあなたです。
手作りごはんのメリット
★同じものを食べてココロが通じるようになる
★生命力が宿っている新鮮な食材をあげることができる
★旬の食材でごはんを作ることができる
★病気しらずのカラダ作りができる
★体臭・便臭がなくなり、毛ヅヤがよくなる
★歯石がつきにくくなる
★性格が穏やかになる
★個性を把握できる
★犬と一緒にダイエットできる
★フードロスやゴミが減る
★経済的負担が減る
★手作りごはんを楽しみにしてくれる
手作りごはんのデメリット
★日持ちがしない(冷凍する手間がかかる、冷蔵庫の保存スペースの確保)
★持ち運びが不便(旅行へ行く時、人に預ける時、水分量があるので重い)
★ペットフードが犬のカラダに一番いいと思っている飼い主が多い
★栄養バランスが取れないという不安
★手作り食の浸透度が低い(間違った情報の氾濫)
★手作り食を推奨する獣医が少ない
★作る手間が面倒臭い
使われる食材の種類
<穀物>
犬にお米はNG!?という極端な情報がありますが、全く問題ありません。
肉類などのタンパク質よりも穀物がしめる割合が多いペットフードが多いため、こういう情報が出るきっかけになったのではないでしょうか?
生米はもちろんNGですが、炊いてから柔らかくお粥状態にしてあげれば、充分に消化することもできますし良質なエネルギーになります。
我が家では玄米をお粥にしてあげています。糠に含まれている食物繊維はお腹の調子を整え、、腸内細菌のエサにもなってくれます。ごはんのかさ増しにもなって、お腹いっぱいに食べさせてあげることもできます。
マクロビオティックには、実も皮も全ていただくことで栄養が丸ごと取れる一物全体という考え方があります。人も犬もバランスよく食べる事が大切です。
玄米・白米(糠をたす)
ソバ・うどん・パスタ・パン(←たまにあげるにはOK)
<肉・魚・卵>
身体を作る大切なタンパク源です。骨はしっかり取り除きましょう。肉はカラダを温める効果があるので、与え過ぎるとカラダの中に熱を溜め込んでしまい、胃熱から湿疹や口臭などの症状につながることがあります。寄生虫対策にもなるので、茹でたり焼いたり火を入れることをオススメします。魚は小骨をしっかり取り除きましょう。卵は栄養価が高くオススメですが、必ず火を通してあげましょう。
肉 牛・豚・鳥、ラム・馬肉
魚 タラ・鯛、ブリ、鮭、アジ、さんま、マグロ
<野菜>
犬の健康を維持するのに必要な食材です。その季節に取れる旬の野菜は栄養価が高く、旬の食べものはその季節の臓器を養うといわれています。
春 (肝臓・胆のう)キャベツ、水菜、もやし、よもぎ、ブロッコリー、舞茸
夏 (心臓・小腸)レタス、小松菜、トマト、きゅうり、トウモロコシ
秋 (肺・大腸)大根、蓮根、白菜、山芋、かぶ、白キクラゲ、かぼちゃ
冬 (腎臓・膀胱・生殖器)ごぼう、葛、人参、パセリ、大根、キャベツ
<豆、海藻、種子>
納豆や黒豆、小豆も積極的にあげたい食材です。納豆菌は腸内環境を整えてくれますし、豆の茹で汁も栄養価が高いのでごはんにかけてあげて下さい。
ミネラルがたっぷり含まれている海藻や含まれているのでゴマもオススメです。
使ってはいけない食材の種類
<タマネギ・長ネギ・ニラ・らっきょう>
体内の赤血球を破壊する物質が含まれているネギ類は、犬にとって与えてはいけない食材で、嘔吐や呼吸困難を起こします。
<肉や魚の骨>
骨つきの肉や魚は、粘膜や内臓を傷つけてしまう可能性がありますので、必ず骨を取ってから与えて下さい。
<香辛料や味付きの食材>
刺激の強い香辛料は、下痢や嘔吐の原因になります。
味の濃いものは塩分が多いので、人用に作った味付け料理を与えてはいけません。
<ジャガイモの芽や変色した緑の部分>
吐き気や下痢、めまいなど神経症状を起こすソラニンという物質が、ジャガイモの芽や緑色に変色した皮の部分に含まれているので全て取り除きましょう。
<カフェイン飲料やチョコレート>
コーヒー、紅茶、緑茶、ココア、コーラ、チョコレートは少量でも中毒を起こす可能性があります。
<アイスクリーム・乳製品、クッキーなどの人用お菓子類>
アイスクリームなどの乳製品はNGです。牛乳に含まれているラクトース(乳糖)を分解する消化酵素が犬は少ないので、下痢を引き起こします。
人と同じく犬も甘い食べものが好きなので、虫歯や糖尿病の原因になるのでやめましょう。
犬のごはんに必要な栄養素
犬は私達人間以上に多くの肉・魚などの動物性たんぱく質を必要とします。
肉魚(動物性たんぱく質):穀物(炭水化物):野菜=5:3:2をベースに、トッピングしておきたいのは、カルシウムと必須脂肪酸です。
カルシウムは筋肉を動かしたり神経伝達に必要なのですが、カラダの中で作ることができない栄養素なので食べものから摂取しなければいけません。
手作り食はタンパク質の摂取が多くなるのでリンが高くなるのですが、カルシウムとリンは1:1でバランスをとる必要があります。
鳥や魚の骨を低温調理器具でホロホロにしたり、卵殻を細かく砕けば天然サプリメントとしてトッピングすることができます。
犬のカラダで作られない必須脂肪酸はオイルで補うことができます。
癌予防や血液の流れをよくするオメガ3脂肪酸はカラダの中で作られないので、アマニ油、エゴマ油を少量ふりかけてあげることをオススメします。
調理するときの注意点
基本「茹でる」ことをオススメします。
お肉や魚を茹でたお湯で野菜をさっと茹でると、野菜に肉や魚の香りがつくので食いつきもよくなります。
細かくした方が良い子もいれば、ペースト状にした方が好きな子もいるので、その子の好みに合わせてあげて下さい。
熱すぎず冷たすぎず人肌がオススメです。
生肉はダメなのか?
生肉はOKですが、あげるモノとあげ方に注意が必要です。
新鮮な生肉を少量ならOKです。肉はカラダに熱を溜めてしまうのですが、生肉を食べ過ぎると湿熱といって加熱した肉以上に熱が体内に溜まります。
犬の8割が胃熱を持っているといわれるのは、ラムや鹿肉、鳥肉がペットフードに沢山含まれていることも原因の一つといわれています。
ラムも鹿肉も北海道などの寒い国でよく食べられるものです。参鶏湯に使われる鳥肉も寒い土地・韓国で食べるもので、カラダを温める食材といえます。季節や頻度を考えてあげるのはOKですが、毎日与えていると熱がカラダにたまってしまいます。
胃熱はアレルギーや口臭、歯周病の原因にもなりかねないので、気をつけてあげて下さい。
適切なご飯量は?
肉魚(動物性たんぱく質):穀物(炭水化物):野菜=5:3:2をベースに、その子の年齢や体質、運動量に合わせて臨機応変に対応しましょう。
基本的に、量はその子の頭のハチの大きさ程度が適量といわれています。
2歳と15歳の5キロでは運動量も年齢も違います。比率を6:2:2という人もいれば、カロリーをキッチリ計った方がいいという人もいますが、その子によって必要な栄養素や配分は違うので正解はありません。太り気味なら減らし、やせ気味なら増せばOK。
体重の増減を見てウンチや毛艶で変化を判断し、その子に合っているかを見てください。
回数は、成犬で朝晩2食です。(成長期の子犬は3〜4食)
手作りごはんレシピ 成犬5キロの1食分
豚肉とおからのヘルシーごはん
材料
豚肉 100g
野菜(キャベツ、大根、さつまいも) 20g
玄米 30g
海藻(ひじき) 5〜10g
<トッピング>
黒ゴマ 少々
おからパウダー 少々
骨のふりかけ 少々
小豆の粉 少々
エゴマ油 少々
1、 沸騰したお湯で豚肉を茹で、冷めたら細かく切っておく。
2、 1の茹で汁で細かくした野菜を茹でます。
3、 ひじきは水で戻した後細かく切り、柔らかく炊いた玄米、野菜、ささみと一緒に盛りつけ、トッピングしたら出来上がり。
ヘルシー野菜のブリごはん
材料
ブリ 100g
野菜(青梗菜、蓮根、水菜) 20g
ハトムギ 30g
<トッピング>
あおさ海苔 少々
白ゴマ 少々
骨のふりかけ 少々
ヨモギの粉 少々
アマニ油 少々
1、 沸騰したお湯でブリを茹で、冷めたら食べやすいようにほぐしておく。
2、 1の茹で汁で細かくした野菜を茹でる。
3、 柔らかく炊いたハトムギ、野菜、ブリと一緒に盛りつけトッピングしたら出来上がり。
トッピングは天然のサプリメント!
★おからパウダーは、腸内環境を整えてくれるのでオススメです。
★小豆の粉 腎臓・膀胱が弱い犬や猫のために耳かき1杯程度オススメ!
★ヨモギの粉 ヨモギは肝臓に良い食材なので、天然サプリメントとしてどうぞ!
★ハトムギは熱を冷まして水を出してくれる効果もあるので、上手に取り入れてあげると良い食材ですよ。
食べものの力を身につけると、健康状態がよくなりますよ!
お医者さんにまかせきり、病院に頼りすぎるのはもうやめましょう。涙やけが治らない、目ヤニが多い、毛艶が悪い、体臭がキツい、これら全てがカラダの中で起きている黄色信号です。
【愛犬手作り無添加ごはん講座】では、病気にならないカラダ作りから 、病気になった時飼い主ができること、そして正しい獣医さんの選び方に至るまで、5匹のママが体験を通してご紹介していきます。
毎日食べるモノが薬と同じぐらい効果がある東洋医学の考え方をベースに、すぐ実戦できるペットのおうちケアもご紹介します。
「我が仔のカラダに、今何が起きているのか?」一番の主治医は、飼い主であるあなたです。
*詳しくは こちらから
五月女圭紀 プロフィール
福岡県出身。1993年度ミス日本ファイナリスト受賞後渡米。拠点をニューヨーク・フロリダに移し世界を廻る。帰国後ゴルフ関連の番組出演や執筆に携わるほか、小料理屋をプロデュース。2007年家族の病気をきっかけに心理カウンセラーの資格を取得。介護記録として書き留めたエッセイ「ひとりじゃないから」(文芸社)を出版し、心と食のワークショップを東京青山中心に全国で開催。
現在、フリーランスライターとして執筆活動に携わるほか、オーガニック料理教室g-veggieで講師として活動。
担当。
著書「お取り分け猫ごはん」(駒草出版)
●G-veggieインストラクター/エキスパートオーガニック料理ソムリエ/猫疾病予防管理士/犬の東洋医学生活管理士2級/犬の栄養管理士マスター/愛犬・愛猫のためのオーガニック料理ソムリエ講師/日本臨床心理カウンセリング協会認定 臨床心理療法士・臨床心理カウンセラー/Freelance writer/Columnist
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