近年、米粉を使ったレシピを数多く目にするようになりました。
私たちの身近にあるお米が原料となっている米粉。実は農林水産省もその消費を推奨していることをご存じでしょうか?
米粉にはどんな特徴があるのか、メリットとデメリットを知れば、米粉を気軽に食生活に取り入れて、美味しく食べることができるはず。
今日は栄養面でのメリットも含めて、米粉の特徴や魅力に迫ります。
近年話題の米粉とは?
名前から、お米を使っていることはすぐに察せられる米粉。
米粉とは正確にはどのようなものを指すのでしょうか?
米粉の定義、そして小麦粉との違いについて説明します。
そもそも米粉とはなに?
まずは、米粉の定義を見ていきましょう。
米粉はその名の通り、米を粉末にしたものを指します。米粉は本来、上新粉や白玉粉としてよく知られていて、和菓子の材料として使われてきました。
しかし近年、米粉の美味しさが見直されて、パンやケーキに用いられることが多くなりました。米粉が持つもっちりしっとりとした食感は、特にパンにしたときに美味しさを発揮し、大変な人気を博すようになったのです。(※1)
輸入に頼りがちな小麦粉の代替品として、米粉の美味を農林水産省も後押し。(※2)
米粉は大いに注目される存在となっているのです。
米粉と小麦粉はどこがちがうのか
小麦粉の代替品としても注目を集める米粉。
米粉と小麦粉にはどんな違いがあるのでしょうか?
小麦粉の特徴として、水を加えて練ると粘りが出ることがあげられます。あの粘りは小麦粉が持つ「グルテン」というたんぱく質に由来しています。
米粉には、このグルテンが含まれていません。(※2)
この違いが、米粉のメリットでもあるのです。その理由は、後述いたします。
米粉の種類と使用法
米粉の種類は1種類ではありません。
作るお菓子や料理によって、使用する米粉の種類は異なります。
米粉の種類にはどのようなものがあるのか、主なものをご紹介いたします。(※3)
うるち米の米粉
いわゆる白飯となるうるち米の米粉には、上新粉があります。
うるち米を乾燥して粉にする上新粉は、柏餅などの和菓子に使用されています。
もち米の米粉
もち米を粉にした米粉の種類は多く、白玉粉や道明寺粉がその代表です。
白玉粉は白玉だんごの材料として知られており、道明寺粉はおはぎや桜餅の原料となります。また、大福もちに使用される餅粉も。
もち米を原料とする米粉は、水に浸したり乾燥させたり、さまざまな工程を経て作られています。
これらの米粉に加え、最近ではさらに粒子の細かい米粉が作られるようになりました。製粉技術が進んだことで登場したこうした米粉から、パンやお菓子が作られるようになったのです。(※2)
米粉のさまざまなメリット
米粉には、数多くのメリットがあります。
味わい、栄養、使い勝手のよさなど、さまざまな観点から米粉のメリットを見ていきましょう。
米粉はアミノ酸バランスがよい
米粉のメリットの中でも特筆したいのが、栄養面における長所。
米粉はアミノ酸バランスがよい食材であることが、第一にあげられます。(※2)
それでは、よく耳にするアミノ酸とはどんな栄養素なのでしょうか?
アミノ酸は、エネルギーを産生するタンパク質を構成する要素です。アミノ酸は20種類存在しますが、ひとつでも欠けるとタンパク質を構成できなくなってしまうという性質があります。(※4)
米粉はこのアミノ酸のバランスがとてもよい食品であるため、その摂取が推奨されているわけです。
また米粉はビタミンB群をはじめとする栄養にも恵まれており、健康や美容には役立つ要素があるといえるでしょう。
米粉はグルテンフリー
米粉のレシピが急増している理由のひとつ、それがグルテンフリーであることです。
近年話題のグルテンフリーについて、まずはおさらいをしてみましょう。
グルテンとは、小麦粉に水を加えて練ることで生まれる粘性の物質です。(※5)
このグルテンを体内で分解できないために、炎症を起こしてしまうケースが少なくないのです。そこで生まれたのが、グルテンフリーという食事療法でした。
本来はグルテンのアレルギー対策として誕生したグルテンフリーは、美容や健康へのメリットが認められ、アレルギーを持たない人のあいだでもこの食事法を適用する人が増えました。
小麦粉で作るお菓子やパンにはもちろん、グルテンが含まれています。
しかし米粉で作ったものはグルテンフリー。
グルテンのアレルギーがある人も、健康や美容に敏感な人も、米粉を愛用する理由がここにあるというわけです。(※6)
油の吸収率が低い
米粉はお菓子やパンだけではなく、さまざまな調理にも活用できます。
農林水産省によれば、米粉は油の吸収率が低いことが認められているそうです。そのため揚げ物をする際に米粉を使うと、サクッと美味しく揚がるのだとか。(※2)
米粉によるヘルシーなフライ、ぜひ試してみたいものですね。
米粉は使いやすい
米粉は、伝統的な和菓子に使われてきました。
しかし製粉技術が向上したおかげで、洋菓子にも応用が可能になったのです。
さらさらとした米粉は生地にするにも便利で、かつ癖も少ないため多彩な料理に使うことが可能。(※2)
クッキーやパン、ケーキといったお菓子だけではなく、カレーやシチューなどのとろみをつけるときにも米粉はとても便利です。(※7)
社会的メリット
米粉の消費が推奨されている理由のひとつに、白米の消費量が低下の一途をたどっていることもあげられます。
日本の食文化を支える白米、1962年には1人当たりの消費が年間118kgであったのに対し、2020年には約半分の50.8kgにまで減少してしまいました。(※8)
一方小麦粉は、大半が輸入に頼っているのが現状。
そこで余ってしまうお米の利用法として、米粉が大いに薦められているわけです。(※1)
こうした社会的な貢献も意識して、ぜひ米粉を使ってみてください。
米粉にはデメリットもある?
米粉には、たくさんのメリットがあることがわかりました。
それでは逆に、米粉にはどんなデメリットがあるのでしょうか? デメリットも熟知すれば、米粉をより上手に使いこなすことができるはず。
そのデメリットを解説いたします。
米粉のカロリー
栄養面でのメリットがある米粉ですが、カロリーに関していえば決して低いとはいえないのが真実。
まずは、小麦粉と米粉のカロリーを比較してみましょう。いずれも、100g当たりのカロリーになります。
小麦粉 349kcal(※9)
米 粉 356kcal(※10)
数字で見ると、小麦粉のほうがわずかにカロリーが低いことがわかります。
カロリーオフを目指す場合は、米粉を敬遠したくなる方も多いかもしれません。しかし、小麦粉と米粉、それぞれを使ったパンのカロリーを見てみると?
小麦粉のパン 248kcal(※11)
米粉のパン 247kcal(※12)
(いずれも100g当たりの数値)
パンになると、米粉を原料にしたもののほうが少しだけですがカロリーが低め。
つまり、お菓子やパンに米粉を使う場合には、小麦粉で作る場合と比較してもそれほどカロリーは気にしなくてもよい、といえるのです。
その理由は、前述したように米粉の油の吸収率が低いことにあります。また米粉は、小麦粉よりも吸水率はよいため、同量のパンで比べると油よりも水を吸収する米粉のタイプのほうがカロリーが低くなるのです。(※13)
ただし、美味しいからといって食べ過ぎてしまえばもちろんカロリーは上昇します。
節度を持った食べ方で楽しみましょう。
米粉は高額?
米粉のデメリットとして最もよく耳にするのが、その価格です。
具体的に数字を見てみましょう。
農林水産省は、小麦粉と米粉、1kg当たりの価格には以下のような差があると報告しています。(※14)
小麦粉 100円程度
米粉 100~290円程度
理由として、製粉コストが米粉のほうが高額になることが挙げられています。
実際、サイト上で販売される小麦粉や米粉の価格を見ると、米粉のほうが高いというイメージは免れません。
しかし現在、不安定な世界情勢によって、輸入に頼る小麦粉の価格は急上昇しています。
米粉の原料である米は国産のものがたくさんあるため、製粉技術の向上が日進月歩の近年ならば、小麦粉と米粉の価格が逆転することも非現実的ではないのです。
食料自給率アップのために、政府も米粉の消費を後押ししています。
価格に関しても、いずれデメリットではなくなる日が来るかもしれません。(※13)
扱いが大変?
小麦粉に慣れていると、米粉はさらさらとしているため使い勝手で戸惑うかもしれません。
粘りのあるグルテンを含まないために、米粉はお菓子の生地などにする際にまとめにくいというデメリットがあるからです。
しかし米粉のレシピが数多く出回っている昨今、これらを解決する方法は皆無ではありません。
コツを会得して、米粉を上手に使いこなしてみてください。(※15)
米粉を使ってダイエットは可能!
米粉には、健全な食生活を維持するために有効な要素がいくつかあります。それらを熟知して取り入れれば、ダイエットに役立つ可能性は大。
その要素をご紹介いたしましょう。
米粉のGI値は小麦粉より低い
GI値という言葉を耳にされたことがあるかもしれません。
GI値とは、血糖値の上昇の状況を知るための指標です。GI値が高いほど食後の血糖値上昇が著しく、血管をはじめとするさまざまな器官に負担を与えるとされています。また、脂肪が体内に蓄積しやすくなるという欠点があるため、GI値が高い食品はダイエット中には避けるのがベターです。(※16)
小麦粉と米粉、それぞれのGI値を比べてみると、小麦粉で作ったパンのGI値が110、米粉の場合は100であることが報告されています。(※16)
米も小麦粉もGI値は低いとはいえませんが、米粉のほうが低いことは注目してよい点といえるでしょう。
グルテンフリーを活用してダイエット
小麦粉にはグルテンが含まれていることは、前述しました。
グルテンには、依存性があるとする説があります。つまり、食べれば食べるほど、さらに食べたくなるという循環に陥る可能性があるのです。(※17)
グルテンフリーの米粉ならば、その心配はありません。
だらだらと食べる悪癖を断ち切るには、米粉は強い味方になるかもしれません。
また、米粉はお腹の持ちがよいといわれています。ダイエットを行う場合も上手に取り入れれば、きっと成功への鍵となってくれるでしょう。
メリットとデメリットを熟知して米粉を活用しよう!
米粉のレシピが巷にあふれるようになり、米粉に興味を持ち始めたかたも多いと思います。
米粉は健康の維持には必須のアミノ酸のバランスがよいことに加え、ビタミン類も含む食材です。
なによりもグルテンフリーの食材として、世界中の著名人たちからも注目を集める存在となりました。小麦粉の代用として米粉を使えば、栄養面におけるメリット、ダイエットにも活用できるいくつかの要素があり、食生活の改善につながるかもしれません。
パンやお菓子だけではなく、お料理にも使える癖のなさも魅力的。
高騰する小麦粉の代用として、国産の米を使った質の良い米粉で、健康的な食生活のための一助としてみてください。
オーガニック・マクロビ料理教室G-veggie
G-veggieはGrain(穀物)とVeggie(野菜)を合わせた造語で、人間にとって大切な2つの食べ物を、料理の中心にして自然に寄りそった生活をしていきたいという意味を込めました。
自然の生命エネルギーあふれる「オーガニック食材」と、日本の伝統的な健康食の集大成である「マクロビオティック」は、身体だけでなく心も健康になれる料理法です。
バランスの良いオーガニック・マクロビ料理を実践して、美味しく食べて身体の中から健康でキレイになりましょう。
〒144-0031 東京都大田区東蒲田2-5-11
Tel : 03-6715-8772 / fax : 03-6733-8760
Mail:info@g-veggie.com
<参照元>
※1.集英社情報知識imidas「米粉」
※2.農林水産省「体にやさしい『米粉』の魅力」
※3.ドクターリセラ株式会社「米粉のメリットとデメリットは?ヘルシーでグルテンフリーな料理を」
※4.農林水産省「アミノ酸」
※5.小学館大辞泉「グルテン」
※6.自由国民社「現代用語の基礎知識(グルテンフリー)」
※7.dely株式会社「パンにお菓子に使い方いろいろ!米粉の魅力を徹底追求」
※8.農林水産省「米の1人当たりの消費量はどのくらいですか。」
※9.文部科学省「食品成分データベース(穀類/こむぎ/[小麦粉]/薄力粉/1等)」
※10.文部科学省「食品成分データベース(穀類/こめ/[うるち米製品]/米粉)」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01158_7
※11.文部科学省「食品成分データベース( 穀類/こむぎ/[パン類]/角形食パン/食パン)」
※12.文部科学省「食品成分データベース(穀類/こめ/[うるち米製品]/米粉パン/食パン)」
※13.HION株式会社「小麦粉のカロリーは高いのか?米粉との違いや驚きの真実とは」
https://www.avan-sweets.com/article/detail/others-kcal/44
※14.農林水産省「米粉をめぐる状況について」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/pdf/komeko2.pdf
※15.低アレルゲン&低糖質のお菓子研究所 トイガルテン「米粉のメリット・デメリット」
※16.HION株式会社「「米粉」と「小麦粉」何が違う?使い方次第でダイエット効果も!?」
https://www.avan-sweets.com/article/detail/riceflour-difference/38
※17.日本Glycemic Index研究会「第9回日本Glycemic Index研究会」P.7
http://www.gikenkyukai.com/dl/JASGI9.pdf
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