和食のスパイスといってもよい風味をもつ「みょうが」。
みょうがは、日本で最も古くから食べられてきた野菜といわれています。(※1)
優しい姿かたちも魅力的なみょうがは、美容や健康によい要素をたくさん持っているのをご存じでしょうか。
今日は、みょうががもつ効能や美味しい食べ方についてご紹介いたします。
みょうがとはどんな食べ物?含まれている栄養価は?
みょうがは、6月から8月にかけて旬を迎える夏の野菜。(※2)
あのピリッとした風味が、盛夏の食卓にふさわしいのも嬉しいものです。
みょうがはいったいどんな食べ物なのでしょうか?含まれている栄養やカロリーについて、詳しく解説します。
みょうがとは
みょうがは、不思議な形状を持つ野菜です。
実はみょうがは、地下にある茎から直接出る花穂の部分なのです。あのつぼみのような可愛らしい姿は、みょうがならではなのです。(※2)
みょうがは、10世紀ごろに残された『延喜式』という古文書にその存在が記されているほど、日本人とは縁が深い野菜です。(※1)
ショウガ科の多年草であり、日本各地で栽培できることでも知られています。
お吸い物や薬味、お魚やお肉料理の付け合わせ、お漬物など、みょうがの食べ方が多岐にわたるのも、私たちのご先祖様たちが愛してきたからこそといえるかもしれません。
カロリー
みょうがのカロリーはどのくらいあるのでしょうか?
文部科学省の食品成分データベースを参考に、具体的な数値を見てみましょう。
生のみょうが100g当たりのカロリー(※3) 11kcal
ちなみに、健康によいといわれるりんご100g当たりのカロリーは56kcal。夏野菜のひとつ、きゅうりは13kcal。(※4・5)
みょうがは、野菜や果物の中でもカロリーが低い食材であることがわかります。
糖質
ダイエットや健康のために、糖質制限をしている方も多いでしょう。
みょうがの糖質はどのくらいいでしょうか?
こちらも、食品成分データベースの数値から計算します。
生のみょうが100g当たりの糖質 0.5g[佐知子1]
成人が1日に摂取してもよい炭水化物量(糖質量+食物繊維量)は、約320gとされています。(※6)
みょうがの糖質は、カロリー同様にとても低いといって問題ないでしょう。
みょうがの主な栄養
みょうがに含まれる主な栄養を表にしてみます。
生のみょうが100gに含まれる主な栄養と量(※3)
たんぱく質 | 0.9g |
食物繊維 | 2.1g |
カリウム | 210mg |
カルシウム | 25mg |
マグネシウム | 30mg |
βカロテン | 31㎍ |
ビタミンK | 20㎍ |
葉酸 | 25㎍ |
鉄 | 0.5mg |
みょうがには、ミネラルやビタミンなどの栄養がバランスよく含まれていることがよくわかります。
また、みょうがの香りの原因となっている成分に「アルファピネン」という物質があります。これもまた、夏バテ対策として有効な栄養として知られているのです。(※2)
これはのちほど説明いたします。
みょうがに期待できる効果・効能
その可愛らしい姿からは想像もできないほど、さまざまな栄養を含んでいるみょうが。
独特の香りと味わいは、特に夏の食卓で活躍してくれるのがみょうがの特徴です。
みょうがを食べることで、どんな効能が期待できるのでしょうか?
みょうががもたらすさまざまな恩恵を解説します。
美肌効果
みょうがを食べることで期待できる効能、ひとつめは美肌効果です。
みょうがには、βカロテンが含まれています。
βカロテンは、体内でビタミンAとなります。ビタミンAは、活性酸素の働きを抑えて、体内の機能の老化を防ぐことで知られています。(※7)
さらにビタミンAは、皮膚や粘膜の上皮組織を正常に保つという役割を担っています。(※8)つまりビタミンAが不足すると、お肌は乾燥しがちになってしまうのです。
みょうがに含まれるビタミンAで、お肌の潤いを維持できるかもしれません。
むくみの解消
むくみの原因はいくつかあります。
食べ物に関連するむくみの原因が、塩分の過剰摂取。(※9)
これを解消するのが、カリウムというミネラルです。(※10)
みょうがには、ミネラル分が多く含まれていますが、もちろんカリウムもそのひとつ。
カリウムは、ナトリウムを体外へと排出してくれる働きを持っています。カリウムを摂取することで塩分過多が解消され、むくみも引いていくというわけです。
しょっぱいものを食べすぎてしまったなと感じたらぜひ、みょうがを口にしてみてください。
鉄分補給
厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」によれば、成人女性が1日に摂取すべき鉄分は、10.5g以上とされています。(※11)
鉄分は血液に重要な栄養素であるだけではなく、筋肉や内臓にもストックされているミネラルです。鉄分の不足は、貧血を引き起こし、集中力の低下や強い疲労感も招く可能性があり、侮れません。
みょうがにはこの鉄分も含まれていますから、旬の時期を中心に積極的に献立に組み入れてみてください。
妊娠中の体にも
みょうがは、妊娠中にもぜひ食べたい野菜のひとつに数えられています。
理由は簡単。妊娠中に積極的に摂取したい栄養素は、「葉酸」「カルシウム」「鉄分」の3つですが、(※13)みょうがには、これらすべてが含まれているのです。(※3)
とはいえ妊娠中の食生活については、主治医の指示に従うのが最重要事項。
みょうがの摂取も度を越さないよう、節度を持った量を食べるようにしましょう。
便通の改善
みょうがには、食物繊維が豊富に含まれています。
この食物繊維、実は日本人に不足しがちな栄養のひとつであることを、ご存じでしょうか。
食物繊維は、腸内の環境を改善するし、便通を改善してくれます。また近年の研究では、食物繊維はコレステロールや血糖値の上昇を抑える働きもあることが報告されています。(※14)
ちなみに、厚生労働省が推奨している食物繊維の1日の摂取量は18g以上。(※15)
みょうが100gには、2.1gの食物繊維が含まれています。みょうがを食べることで、厚生労働省が示す目標数値をかなりカバーできることでしょう。
食欲増進と消化の促進
みょうがが夏の食卓にふさわしい理由は、栄養面からもわかります。
JAグループによれば、みょうがの香りの原因となっている「アルファピネン」という成分は、食欲を増進させる効能があるのだそうです。また消化も促進するため、まさに夏バテにはもってこいの野菜、ということになります。(※2)
おいしいみょうがの選び方とは?
みずみずしい姿が清涼感を演出してくれるみょうが。
美味しいみょうがを選ぶには、どんな点に注目するべきなのでしょうか。
みょうがを選ぶ際のポイントをあげてみます。(※2)
紅褐色のみょうがのつやがよいこと
みょうがの形状が丸みを帯び、ずんぐりとしていること
つぼみが開きすぎず、身がしまっていること
ちなみに、平均的なみょうがの長さは5cm~7cmほど。その基準に適合しているか、よく観察して選んでみてください。
花序を食べるみょうがですが、花が開きはじめたものは風味が損なわれている可能性が高くなります。開きはじめたみょうがは購入しないよう、注意しましょう。
みょうがの効果を高める食べ方は?
みょうがには豊富な栄養が含まれていることは、おわかりいただけたと思います。
こうした栄養を効率よく摂取するためには、みょうがをどのように料理すればよいのでしょうか?
その方法を説明いたします。
調理方法
みょうがの風味を生み出すアルファピネンは、水に溶けません。しかし、油には溶けやすいという性質を持っています。
食欲増進や消化促進の働きがあるアルファピネンを効率よく摂取するには、みょうがは炒めものにするなど、油と組み合わせた料理にするとよいでしょう。(※16・17)
あく抜き
みょうがには、水に溶けやすいビタミンB群も含まれています。(※3)
また、みょうがの紅褐色に含まれるアントシアニンは血液をサラサラにする効能を持っていますが、こちらも水に溶けやすいのが特徴。(※16・18)
みょうがの苦みが気になる場合も、あく抜きは短時間で切り上げるのがベターです。
朝食に加える
みょうがのアルファピネンには、眠気を覚ます効果があることも報告されています。また、血流をよくする効能もあるため、朝の目覚めが悪い方は朝食にみょうがを食べるとより効果的です。(※2)
みょうがを使ったレシピ4選【サラダ・お漬物編】
みょうがといえば、生で食べてその風味を堪能するのが王道ですが、サラダやお漬物にする場合、どんな食べ方があるでしょうか?
いくつかのアイデアをご紹介いたします。
みょうがの酢漬け
みょうがを漬け物にしたい場合は、酢漬けで食べるのがおススメです。
ほどよい酸味のみょうがの酢漬けは、食卓におけるよきアクセントとなってくれます。
みょうがのピクルス
みょうが同様、夏に旬を迎える野菜とともに、ピクルスにしてみてもおしゃれな一品になります。
月桂樹や鷹の爪を加えたピクルス、洋食の付け合わせにしてもお口の中がさっぱりします。
みょうがの和風サラダ
みょうがをサラダにしても、独特の風味が魅力的な一皿になります。
ポン酢やすりごまを使って味付けをし、水菜やカイワレダイコンも一緒にサラダにしてみましょう。涼しげなビジュアルとともにお楽しみいただけます。
みょうがの洋風サラダ
みょうがは日本独特の野菜ですが、洋風にしても美味しく食べることができます。
オリーブオイルと塩をかけてレモンをキュッと絞るだけで、地中海風の味わいに早変わり。
彩りのよい夏野菜と盛り付ければ、お客様をお迎えする食卓にも映えます。
みょうがを使ったレシピ3選【一品編】
みょうがは、加熱して食べても美味しい野菜です。主食から主菜、副菜まで、みょうがを使ったレシピは盛りだくさん。
アイデアの一端を見てみましょう。
みょうがごはん
炊き上がったごはんに、みじん切りにしたみょうがを混ぜるだけでできる簡単レシピです。
あっさりとした味付けご飯は、和の真髄といった趣に。いりごまも一緒に混ぜて、香り高きごはんを堪能できます。
豚バラ肉と炒めもの
油と相性がよいみょうがは、炒めものにするという手もあります。
夏バテ解消の鍵となるビタミンBをたっぷり含む豚肉と炒めて、甘辛く味付けしてみましょう。大人の食卓ならば、千切りにした生姜も加えて、和風スパイシーにするのも乙です。
お吸い物
みょうがは、お吸い物の具としてもよく使われます。
昆布などを使ってじっくりとよいお出汁をとり、豆腐を入れてお吸い物を作ります。カットしたみょうがは、食べる寸前に鍋に加えるのがおすすめ。
シャキッとした食感を味わえます。
みょうがを使った特選レシピ【メイン編】
みょうがのような 香味野菜は、独特の香りや豊かな風味、鮮やかな色彩がアクセントになり、シンプルな料理を味わい深くしてくれる名脇役的な存在。
ですからメインの食材として料理に使うのがなかなか難しいのですが、天ぷらだけは別格!!
主役級の野菜たちにも負けないくらい、パンチのある一品になりますので、是非、お試しくださいね♪
みょうがの天ぷら(4人分)
材 料:
茗 荷 8本
米 粉 40g
水 60cc
菜種油 適量
塩 適量
作り方:
茗荷は軽く洗って水けをきり、縦半分に切る。
米粉と水を良く混ぜ合わせる。
茗荷に軽く米粉粉(分量外)をまぶす
2の衣にくぐらせ、中温の揚げ油で揚げる。
塩をつけて食べる。
半分に切った茗荷を揚げたシンプルな米粉の天ぷら。
一口噛みしめてみると、茗荷の香りが鼻に抜け、口の中にほんのりと甘みが広がります。
茄子やオクラなどの夏野菜も一緒に揚げて、おそばや素麺と一緒にめしあがってみてくださいね。
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みょうがの正しい保存方法とは?
花の部分を食べるみょうがは、どのような保存方法で鮮度を維持できるのでしょうか?
みょうがは冷蔵保存が基本ですが、すぐに食べきれない場合には冷凍保存も可能です。それぞれの保存方法について解説します。
冷蔵保存
みょうがを冷蔵保存する場合には、まず水でよく洗い、表面の汚れを落としましょう。
水で洗ったみょうがは、しっかりと水気を取ります。少しだけ水で湿したキッチンペーパーにみょうがを包み、さらに保存用の袋に入れて冷蔵庫へ。
鮮度がよく正しく保存すれば、この状態で1週間弱は日持ちするといわれています。(※19)
また、みょうがを水に浸けて冷蔵保存する方法もあります。ただし、シャキシャキとした食感は失われる可能性がありますのでご注意を。(※19)
冷凍保存
みょうがは、冷凍保存も可能です。水で洗い、水分をとったみょうがを1個ずつラップにくるみ、専用の保存袋に入れて冷凍します。
状態がよければ2か月ほど保存可能ですが、解凍後のみょうがは風味が失われることもありますので、加熱料理に使うのがベターです。
みょうがを摂取する際の注意点は?
みょうがを摂取する場合に、注意することもあります。
栄養たっぷりのみょうがですが、それなりに気をつけて食べることが必要です。
注意点①アレルギー
みょうがは、ショウガ科の多年草です。ショウガ類にアレルギーがある方は、摂取を控えたほうがよい可能性があります。(※20)
みょうがを口に入れて、口腔内でイガイガした感触がある場合は、アレルギーかもしれません(※21)ので、医師に相談するなどして、みょうがの摂取に気をつけましょう。
注意点②過剰摂取
みょうがの栄養点をできるだけたくさん取り入れたい。こう考えることは、決して悪いことではありません。しかし、なにごとも過ぎたるは猶及ばざるが如し。
過剰摂取による弊害もあることは、覚えておかなくてはなりません。
厚生労働省も、食事はバランスよく食材を摂取することが大事であると宣伝しています。(※22)
みょうがの美味しさと栄養を食卓に取り入れつつ、バランスのよい食事を心がけてください。
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まとめ
古くから日本で愛されてきたみょうが。
その芳香と辛味、そして美しい姿も、みょうがの魅力のひとつです。
みょうがはまた、栄養面でもメリットが多いのが特徴。多種のミネラルやビタミンを内包しているため、食生活にさまざまな形で取り入れることをお勧めします。
夏に旬を迎えるみょうがは、食欲増進などの効能も持っています。鮮度のよいみょうがを正しく保存し、サラダや漬物として、さらには炒めものなどの加熱料理にも活用し、美味しく食べてみてください。
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<引用元>
※1.平凡社世界大百科事典(ミョウガ)
※8.小学館日本大百科全書「ビタミン」
※17.平凡社世界大百科事典「ピネン」
※18.集英社情報・知識imidas「アントシアニン」
<参照元>
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